“愛する人が自分以外の人も愛している”というひとつのカタチ
複数の人との恋愛と聞けば、中には「だらしない」「浮気性」「不道徳」などという印象を感じ、嫌悪感を抱く人も少なくないはず。
そんな中「ポリアモリー」という全く別の考え方があるのだそう。
「ポリアモリー」とは、複数の人と合意の上で性愛関係を築く概念のこと。
複数の相手と“誠実”に向き合うことを大切にしていて、隠れて行われる浮気や不倫とはまた違うもの。
衝撃ともいえる、あまり馴染みのない「ポリアモリー」の考え方。その詳細に迫ります。
「ポリアモリー」の由来
「ポリアモリー」という言葉は、ギリシア語の「poly(複数)」とラテン語の「amor(愛)」からアメリカで造られた造語。
1990年代の初め頃から「責任あるノンモノガミー(非一夫一婦制)」に代わる言葉として使われるようになりました。
「ノンモノガミー」とは、「同時に2人以上の性的パートナーをもつこと」を意味します。
現代では性の多様性に寛容なイメージがあるアメリカですが、そもそもはキリスト教圏であることからアメリカは性に対しては厳格な考えを持っていました。
しかし、80年代になると、複数の人と“誠実に”関係を築く性愛スタイルや生き方を求める人々がコミュニティ作りをはじめます。
90年代になってからは、ポリアモリー運動を提唱する組織も誕生し、自分たちの愛のかたちを「ポリアモリー」と命名。
現在では、日本にもポリアモリー・グループが存在し、国際会議も開かれて世界的な広まりをみせているのだとか。
浮気や不倫とは違うポリアモリー
さて、相手に嘘をつき、隠れてする浮気や不倫と、相手と合意の上で複数の人と関係をもつポリアモリーは、何が違うのでしょうか?
①罪悪感からの解放
パートナーの合意のもとに築く関係なので、罪悪感を感じることなく愛を育むことができます。
実際に浮気や不倫の経験で、罪悪感から心苦しさを感じていた人が心を痛めずに人を愛したいと、ポリアモリーを選択するに至った…という話も。
②新しい信頼関係
「本当に大切な人だからこそ、包み隠さず本心をみせたい」と考えるポリアモリストが多いようです。
複数の人を愛している“ありのままの自分”を受け入れてもらい築くパートナーとの信頼関係は、とてつもない深さがあるのかもしれません。
③パートナーへの配慮の在り方
浮気や不倫をパートナー隠す理由のひとつは、事実を知った相手を傷つけたくないからです。
それはある意味、パートナーへの配慮や優しさがそうさせるのでしょう。
一方でポリアモリストの場合、パートナーや自分が“どんなことで傷つくのか”をお互いに正直に伝え、配慮をします。
パートナーや自分の痛みに誠実に寄り添いながら、柔軟に向かい合っていく付き合いをするのです。
嫉妬とうまく付き合っていくことがカギ
仮に頭では理解できたとしても、実際にポリアモリーの方とお付き合いをしようとすると、どうしても嫉妬が邪魔をしそうです。
ポリアモリーにおいて、嫉妬はやっぱり大きな課題になっているのだとか。
ポリアモリーのマニュアル本には「嫉妬で辛さを感じたときは自分で抱え込まずパートナーに相談すること」が奨励されています。
パートナー同伴で、専門家のカウンセリングを受けるケースもあるのです。
またポリアモリストのなかには、嫉妬を「自分のために」「自分たちのために」活用する、という意見も。
世間一般でいう嫉妬では「なんで浮気したのよ!」という怒りや悲しみの気持ちを感じます。
しかし、あるポリアモリストは自問したり、自分たちの関係性を見直すきっかけにしたそう。
嫉妬を遠ざけたり「負の感情」と決めつけるのではなく、嫉妬とうまく付き合い、活用しようとしているのです。
あなたは、ポリアモリーという概念をどう捉えますか??
常識にとらわれずに新しい考え方。
「人が人を独占することに疑問を感じる」と言われれば、なんとなく納得できるような…。
この形を受けいれることは、恋愛や結婚生活の在り方を大きく広げると言えるかもしれませんね。