プロポーズ エピソード紹介集。公園で月を眺めながらされたプロポーズ
私の勤めている会社と自宅の丁度、中間地点にとても綺麗な公園があります。
日中は子供やランニングをしている人達で溢れている場所なんですが、夜になるとライトアップされて美しいので、私はそこが大好きでした。
早朝にベンチに座ってのんびり過ごしたり、夜ライトアップされる頃に行って曲を聴きながら月を眺めたりしていました。
彼との出会いもその公園で、私の隣のベンチに座ってきたんです。
最初はお互い声をかける事は無かったですし、彼も音楽を聴いていて、接点はありませんでした。
でもある日、彼の方から話しかけてきてくれました。
「こんばんは、いつもこの時間にいますよね」
「あ、こんばんは~。ええ、このベンチお気に入りの場所なんです。ライトも月も、綺麗に見えますから」
「へぇ…僕が座ってるベンチと違うんですか?」
「私はこっちの方が好きですね。……良かったら隣空いてますよ」
「問題ないなら、是非」
そう言って彼が隣に座ってから、一緒に月を眺めつつポツポツと話をしました。
どうやら彼は最近遠方から引越しをしてきたみたいで、まだ友人が近場に居ないようでした。
『それじゃ私が最初の友達になります!』
そう言うと彼が小さく笑ってくれて、それがとても印象的でした。
それからというものの、ほぼ毎日のようにベンチで待ち合わせをし、気付くと彼の事を好きになっていました。
そして思い切って私の方から告白をしたんです。
彼はビックリしていましたが、すぐに照れ臭そうに頷いてくれました。
私達の付き合い方は出会った頃からそう変わる事はありませんでしたが、たまにお互いの家に行って一緒に映画を観たり、休日は彼の家で一日を過ごしていました。
デートも回数はそう多くはなかったのですが、二人にとって無理のない付き合い方を続けて行きました。
彼と付き合い始めて半年程経った頃、いつものように彼と一緒にライトアップされた公園で月を眺めつつ話をしていた時の事です。
「〇〇さんはさ、将来どういう事したい?」
「将来っていうと……仕事の事?」
「仕事もだけど、どういう結婚生活を送りたいか~…とかさ」
「…結婚…?」
「うん、考えたりした事ある?」
急に結婚の話をし始めたので驚きましたが、私は『もしかして…』と淡い期待を抱きました。
だってこういう話をし始めるって事は、彼は私との結婚を考えてくれているのかも…って思っちゃいますからね(笑)
照れ臭さから彼の顔を見る事は出来ませんでしたが、頑張って話してみる事にしました。
「…そうだねぇ~、結婚してもデートしたいな」
「デートかー…いいね、結婚してもデート出来る夫婦って」
「うん、お爺ちゃんやお婆ちゃんになってもデート出来る夫婦になりたいな」
「…そっか、うん…そっか。他には?」
「他にはー…夕食は一緒に食べたいし、寝る時は一緒のベッドが良いかな。喧嘩しても別の部屋で寝るって事はしたくないかも…」
「ふーん…そっか」
私の話を聞いて、彼は素っ気無い返事ばかりでしたが、何か考えているようでもありました。
もしかして私の期待損だったのかも…、と思い始めていると、彼がこう言ったんです。
「僕はさ、歳を取っても手を繋ぎながら一緒に買い物に行ける夫婦でいたいな。1日の終わりにはその日何があったのか話を聞いたり、そういう事が出来る人と結婚したいって思ってる」
「いいね、そういうの素敵だよね」
「うん…だから今確信したんだよ。〇〇さんとならそういう夫婦になれるって。たとえ喧嘩しても、絶対に仲直り出来て恋人のような夫婦になれるって。だから僕とそういう夫婦になってくれないかな?」
「…ふふふっ、うん。私も〇〇君とならそういう夫婦になれるって思ったよ。私で良いなら…奥さんにして下さい」
「はははっ!〇〇さんで良いなら、じゃなくって…〇〇さんが良いんだよ?」
そう言って楽しそうに笑う彼の横顔を見て、やっぱりプロポーズをしてくれようとしていたんだと安心しました。
その日はいつもよりも長い時間一緒に月を見て、いつお互いの両親に挨拶へ行くかという話をしました。
帰りは私の方から手を繋ぎました。
『こうやって手を繋いで一緒に生きていこうね』と優しく言ってくれた彼の奥さんになれる日が、待ち遠しくなりました。