エピソード紹介集。仕事に疲れ果てていた時に言われた愛の言葉
友達からの紹介をきっかけに、彼と出会いました。
紹介自体はお互いに乗り気じゃなかったのに、出会ったらその日の内に意気投合して、すぐにデートするまでに。
お付き合いを始めたのも早くて、2回目のデートで彼から告白。
返事を考えることすらなく、すぐにYESの言葉が口から出ました。
お互い社会人だということもあり、デート時には仕事の話もしていました。
その中で分かった事は、彼の会社はとても人間関係が円満だという事。
デートの最中に偶然彼の会社の人に遭遇した事があった時、彼の同僚達ははやし立てる事もせず、
『あぁ、例の彼女さん?コイツね、いっつも会社で君の話してるんだよ』
『そうそう、すごい好きみたいでさ。仕事の休憩時間とか君からメールが来ると、嬉しそうにしてるんだよね。』
『コイツ会社でも頼り甲斐のある奴だからさ。これからも仲良くしてやってね』
と、そんな話を聞かせてもらって、とても嬉しかったです。
まさか会社でも私の事を話しているとは思っていなかったけど、そんなに好きでいてくれてるなんて。
ただ、彼は良い人間関係が築けている会社に勤めているけど、私はそうじゃなかった…。
コミュニケーションが極端に少ない会社で、私語はもちろん厳禁だし、お昼休憩に同僚とレストランに行くようなこともない。
仕事で聞きたいことがあっても『今話しかけるな!』という雰囲気を出されてしまうし、勇気を出して話しかけても嫌そうな顔ばかりされてました。
上司もかなりきつい言葉遣いをするし、その日の気分で部下に八つ当たりをしてくるなんて当たり前でした。
唯一その不満を話せるのが彼で、いつも気遣ってくれていました。
けれど話せば話すほど、彼の負担になっているんじゃないか、愚痴ばかり聞かせると私の事が嫌いになってしまうんじゃないかと考えるようになっていきました。
とある日、仕事で大きなミスをしてしまって周りに迷惑をかけてしまう事態に…。
上司にも同僚達にも散々言われてしまい、自分のミスだということもあって、言われた言葉がいつも以上に心に突き刺さってしまいました。
日付が変わる直前にやっと帰宅した私は、着替える気力もなくベッドに倒れこんで大泣きしてしまっていると、携帯に彼からの着信。
また彼に心配させてしまうと考え、その着信に出る事が出来ませんでした。
そのまま涙を拭きながらぼんやりとしていると、インターホンが鳴ったんです。
こんな夜中に誰だろうって思っていると、玄関の向こうから聴こえたのは彼の声でした。
『〇〇〇ちゃん…起きてる…?』
私は泣き腫らしていた事も忘れて、玄関を開けました。
私の顔を見た彼は、何かを察したような表情をすると、中に入ってきてそっと抱き締めてくれました。
安心したのか、もう出し切ったと思った涙がまたボロボロと溢れてしまいました。
私が落ち着いてからリビングに移動し、今日何があったのかをゆっくり話しました。
その間彼はずっと私の頭や背中を撫でながら、黙って聞いてくれていました。
一通り話し終わった後彼の方を見ると、考え込んだ表情。
(あぁ、やっぱり聞かせるんじゃなかったや…。来てくれただけで十分だったのに…)
そう落ち込んでいると、彼が真剣な表情で私の方を見て、思っても居なかった言葉をかけてくれたんです。
「最近仕事の話聞かなかったから大丈夫なのかと思ってたけど、違ったんだね。もしかして僕に話したら嫌がられると思ったの?」
「……会う度にこういう話しちゃったら、私と居るの楽しくなくなっちゃうと思って…」
「そんなふうに考えてたの?」
「ごめんなさい…」
「違うよ、謝って欲しいんじゃない。あのさ、結構前から考えてたんだけど…結婚してくれませんか?」
「…え?け、っこん…?」
私が驚いた顔をしていると、彼はたたみかけるようにこう続けました。
「うん、仕事を辞めろとは言えない。それは君の人生だから。だけどもう僕に気を遣って一人で泣いて欲しくない。同棲とかじゃなくって、もっとちゃんとした形で〇〇〇ちゃんと一緒に居たいんだ。辛い時にいつでも隣に居て支えてあげられるような形でね」
「…私でいいの…?」
「当たり前じゃん、むしろ〇〇〇ちゃんじゃなきゃ嫌なんだよ?」
驚く言葉ばかりで思わず彼を凝視してしまったけど、彼は至って真剣な表情で緊張した様子もありませんでした。
私は頷き、彼に抱きついていました。
辛い事だけで終わる1日だと思ってたのに、彼がくれる言葉でこんなに幸せになれるなんて…。
そしてそんな彼の奥さんになれる事を考えると、この先も頑張れると確信出来た日でした。