プロポーズ エピソード紹介集。幼稚園教諭の私。彼が運動会での仕事ぶりをみて・・
私が小学校高学年のとき、入学してきた1年生のお世話をするという習慣がありました。
右も左もわからない1年生に教室の場所を説明したり、掃除の仕方を教えてあげたり。
一週間の中で担当がきまっていて、何曜日のこの時間には一年生の教室へ行く人というのが振り分けられていました。
私はその時間がとても好きでした。
担当ではない時間にも1年生の教室へ遊びにいき、絵を描いたりおんぶをしたり、低学年の子達をとても可愛いがっていました。
当時の担任の先生は私のそういった行動を“長所”として褒めてくれたのをよく覚えています。
高校生のときの進路相談をする頃には私の将来の夢ははっきりと決まっていました。それは幼稚園の先生。
社会人になり、幼稚園の先生になる夢は無事叶いました。
仕事は思っていたよりずっと大変だったけれど、想像よりはるかにやりがいがありました。
初めての担任したクラスの子が卒園するときには数日前から涙が止まらず、子どもたちに励まされることすらありました。
それからあっというまに月日は過ぎ、気づけば7年目のベテランに。
そして私の小さい頃からの夢のもう一つ、それは「お嫁さん」になること。
社会人になって数年目から付き合い出した彼は仕事が忙しく、月に2回会えればいい方でした。
数日連絡をとらないこともしょっちゅう。
そして彼に仕事の話をしても、あまり興味が無さそうな素振りしかされないことも悩みの一つでした。
年齢的なこともあり結婚を意識し始めていた私にとって、幼稚園での話がなかなか伝わらないことはとてもネック。
彼とこのまま関係を続けてもいいのか悩んでいました。
とある日、私は勇気を振り絞って彼に聞いてみました。
「あのね・・来週の土曜日に私の幼稚園で運動会があるの。私の担当してる年長さんは、パラバルーンをしたりリレーをしたりするんだ。わたしの仕事ぶりを見て欲しいから、土曜日観に来てくれないかな?」
私の表情があまりにも真剣だったからか、彼が運動会に足を運んでくれることになりました。
運動会当日。イベント日和の快晴に恵まれました。
子どもたちと演目をこなしているなか、ふと園庭に彼の姿を見つけました。
彼は何か考えているように、私のことをひたすらジッと見つめていました。
バルーンやリレーがも無事に終わり、子どもたちの3年間の成長を感じて涙が止まらなかった私。
運動会の片付けも済み、待ち合わせ場所に行くと無表情の彼が佇んでいました。
(面白くなかった?無理やり誘ったから怒ってる・・?)
この仕事を理解してくれない彼とは上手くいかないかもしれないと、ネガティブな感情が沸き上がってきてしまいました。
すると彼から思いがけない言葉をかけられたんです。
「今まで幼稚園の先生の仕事をよく分かってなかった。興味が無かったわけじゃなくて、分からなかった。
だけど今日一生懸命子どもと向き合ってるお前のことを見て、すごく尊敬したよ。今までちゃんと話を聞いてあげられなくてごめん。」
そんなふうに考えてくれたとは思ってもおらず、私の顔は赤くなりました。
そして彼は続けてこう言ったんです。
「これからはもっともっとお互いの話をしていきたい・・・これからもずっと。僕と結婚してくれませんか?」
いきなりのプロポーズでした。
運動会終わりで汗臭かったのでなにも今日じゃなくても・・!とも思いましたが、彼が理解してくれたことが何より嬉しかったので、もちろんOK!!
汗なのか涙なのかなのか分からないものが、頬を伝わって流れ落ちました。
それからというもの、彼は楽しみながら幼稚園での話を聞いてくれるようになったんです。
来春、結婚式を挙げる予定です。