エピソード紹介集。彼にとっての指輪の意味は・・
当時私は、幼稚園教諭でした。
彼氏が途切れることはあまりありませんでしたが、付き合ってから好きになろうという思いで付き合い始めるためか、中々恋愛が長続きしなかったことを覚えています。
そんな中、友達に紹介されて付き合い始めた彼がいました。
彼は私の兄の同級生で、私より2つ年上の男性。
私の兄と同い年だということもあり、なんだか始めは家にあがってもらうことがとても照れくさかったのを覚えています。
照れくさく感じていたのは彼も一緒で、私の家に遊びにくるとまずは兄の部屋をノックして声をかけてから、私の部屋に入るようにしていました。
今思えば律儀だなあと思います。
地元が一緒だということもあり、近くの公園で散歩デートしたり、二人の家の中間地点で待ち合わせをして二人でジョギングしたりして過ごしました。
彼はサッカーを教えることが趣味で、当時休みの日になると近くの小学校でサッカー少年団のコーチをしていたんです。
子供が大好きだった私にとって、それはとても魅力的な趣味。子供たちに熱心に指導している彼の姿を見たくて、小学校へ出向いてフェンス越しに彼を探したこともありました。
そんな彼と付き合い始めてから1年が過ぎた頃。
特に大きな喧嘩をすることもなく、マイペースに付き合ってきた私たち。1年という節目なので何かプレゼントをあげると彼が言ってくれたんです。
そこで私はお言葉に甘えて、「指輪が欲しい」とお願いしました。
それまで付き合った彼ともペアリングをしてきましたが、すぐ別れてしまったのでほぼつけることなくゴミ箱行きになってしまったものもあります。
もう2年も付き合っているし、という思いでお願いしたものの、彼の反応は想像とは違うものでした。
「ごめん。指輪だけはあげられない。俺ね・・指輪は結婚する時にしかしないって決めているんだ」
彼にとっては指輪というのは結婚指輪しかないという思いだったようです。私は納得し、他のペアアイテムをお願いしました。
それからも喧嘩はしないものの、私たちは結婚という話は全くあがらず付き合いを続けてきた私たち。
4年が過ぎ、周囲の結婚ブームも相まって彼との将来を不安になり始めていたとき、突然彼の転勤が決まりました。
転勤先は大阪。これからは会いたくても会えなくなる。
転勤の事実を聞かされた私は不安に押しつぶされそうになり、思わず涙が出てきてしまいました。
するとそんな私を見ていた彼がいきなり、「・・指輪買おうか?」と言ったんです。
聞き間違いかと思い聞き返すと「指輪買おうか・・・結婚指輪。一緒に大阪についてきてくれないかな?」と。
いきなりのプロポーズでした。
彼にとっては初めての指輪。シンプルだけど、彼の思いが詰まったプロポーズ。
私は涙を流しながら頷きました。
それから私は幼稚園を退社し、今では彼とともに大阪に住んでいます。
慣れない土地に不安を感じることもあるけれど、この大切な指輪があるから大丈夫。この指輪がいつでも私たちを幸せの道に導いてくれると信じています。