プロポーズエピソード紹介集。コスモス畑でプロポーズ
私には小さいころからの大切な思い出があります。
それは毎年秋になるとコスモス畑に家族で行っていたこと。
当時の私は、母にコスモスで花飾りを作ってもらったり、兄弟で鬼ごっこなどをして遊んでいました。
そしてその様子を嬉しそうに何枚も写真に残す父。思い出の中のその光景は私にとって幸せそのものでした。
大学生になり一人暮らしを始めると、怖い位の孤独感に襲われたことを覚えています。
私は本当に大切に育てられたんだなと実感したものです。
社会人になって今の彼氏とは友人の紹介で知り合いました。付き合い始めたのは秋。
一緒に車に乗っている時にふと見えた道端のコスモスから、私は幼少期の思い出の話をしました。
「本当にいい家で育ったと思ってるし、私もああいう家庭を作りたいって思うんだ。」そんな風に夢を語ったのも付き合い始めたこの頃でした。
それ以来、彼は毎年秋になると「そろそろ秋だし、コスモス見に行こうか?」と誘ってくれるようになりました。
何気なく言った一言を忘れずに大切にしてくれる彼氏の存在は、私の中でとても大きくなっていたんです。
付き合って5年目の秋も彼からコスモスを見ようと誘われました。
私が29歳だったということもあり、そろそろプロポーズかな?と考えていましたが、なかなか彼からの声はかからず少し落ち込んでいるところでした。
いつものコスモス畑につき、一面に咲いたコスモスの花を見ていると、不安な気持ちも全て忘れて幸福感に包まれます。
2人で散歩をしながら今年も一緒にコスモスを見れて良かった、などと話していました。
帰宅する時間になり、今日もプロポーズの言葉はもらえなかったなあ・・・と落ち込んでいると彼から「今日はちょっと家によって行かない?」と唐突に言われました。
彼の一人暮らしの家に行くことは珍しくなかったのですが、遠出後に行くことは無かったので、驚きました。
夕日が綺麗に見える頃、彼の家に到着。
「あがってあがって。」と部屋に通され、リビングのソファーに座ろうとすると「今日はそこじゃないんだよ。」と手をひかれました。
促されるままについていくとそこはカーテンの閉まったベランダ。
なんだろう?と不思議に思っていると、彼がパっとカーテンを引きました。
そこには、ベランダ一面のコスモスが咲いていたのです。
「見てほしくて植えたんだ。育てるの意外と簡単だったよ。」と彼は笑っていました。
まさか彼の家でコスモスを栽培しているとは思ってもみなかったので、「凄い!お家でコスモス見られるなんて。」と私はハシャぎ気味でした。
すると唐突に、こう言われたんです。
「俺も君の家みたいな、温かい家庭を築きたい。もし俺の奥さんになってくれるなら、式は来年の秋にしよう。結婚式でもコスモスの花がたくさん飾れるように。」
ビックリしっぱなしで言葉が出なかった私ですが、ようやく言葉を発することが出来ました。
「は、はい。よろしくお願いします。」
私はようやく自分だけの温かい家庭を見つけられたみたいです。