プロポーズエピソード紹介集。見知らぬ男性からいきなり路上で・・!??
最悪!!!
なんで20代最後の日にこんな意味不明な事が起こるの!?
私はかなりイライラしながら行きつけのお店まで急いでいた。
一人暮らしの私には、実家のような行きつけのお店がある。小さなお店でカウンターもある和食屋さん。
ここが私の普段夕食を食べる場所。
引き戸を勢いよく開け「最悪だ!」と一言言うと、笑いながらお母さんが出てくる。
お母さんといっても実母ではなくて、お母さん的存在のお店の店主だ。
ちなみに男。
「お母さん!最悪なんだけど!!」と言うと「どうしたの~?」と笑いながらビールをついでくれた。
とりあえず目の前のビールを飲み干すと、「路上でプロポーズされたの!しかも知らないやつに。」と話し始めた。
この店に小走りで急いでいる道中、交差点の真ん中でいきなり知らない男に「好きです!結婚してください!!」と深々と頭を下げられたのだ。
私はあまりに驚き、全力ダッシュで逃げてしまった。
だって恥ずかしかったんだもん!
するとお母さんは「あんた会ってると思うよ、その男の子。」と笑いながら言った。
「全く知らない人なのになんで?」と聞くと、お母さんいわく前回私が店で酔いつぶれていた時に居た男の子では?とのこと。
前回の飲み屋での記憶が全くないので困っていると「あんた下僕のように扱ってたよ。」と言われてしまった。
そんな会話の最中、そろ~っと静かに見せの引き戸が開いた。
「噂をすれば。」とお母さんが言うので振り向くと、例の路上男が立っていた。
「あー!!!」と私が叫ぶと彼は申し訳なさそうに「さっきはすみませんでした。」と謝ってきた。
彼(路上男)の話によると、どうやら先日酔いつぶれた時に一緒に結婚の話をしていたらしい。
普段なら絶対にそんなこと人に話さないのに、結婚に対する憧れとか、理想の夫婦像を語っていたらしい。
そしてそんな私を物好きな路上男は惚れてしまったらしい。
「強そうなのに、可愛らしいんだなって思って。」と、路上男は語っていた。
話が落ち着いたころ、「結婚を前提にお付き合いしてくれませんか?」と改めて結婚を申し込まれた。
「まだお互いのことをよく知りませんが、少なくともこの店の肉じゃがが好きという共通点はあります。僕はこれからあなたとの気が合う部分を探していきたいと思ってるんですが。」
そんな風に言われ、私は「とりあえず友達からで。」と答えた。
そのあとに分かったのは、なんと路上男がこの店の息子だっていうこと。
それから1年。
あっという間だったが私たちは結婚する。
「肉じゃがの他にも揚げ出し豆腐と牛筋の煮込みが好きということも一緒ですね。結婚しましょう。」と店でご飯を食べている時に言われたのだ。
「なんで食事の趣味ばっかり?」と笑いながら聞くと「1日3回もご飯を食べますからね。」と笑いながら返された。
子供のような彼に私は「結婚しようか。」と頷いたのでした。
実家のように通っていた店が実家になるとは思わなかった。